ニ十八、小児夜尿



(一)概説
 小児遺尿は3歳以上の小児が睡眠中に日常的に排尿する症状を指しますが、多く夜間の睡眠時に発生するので、またの名を“夜尿症”といいます。3歳以下の小児は、大脳皮質がなお完全には発育していないので、寝小便をしても病気ではありません。小児が日中の遊びで興奮しすぎて、あるいは就眠前に水を飲み過ぎて、偶々寝小便をするものも病気ではありません。おねしょの軽い者は数夜に一回ですが、重い者は一夜に数回寝小便することがあります。長引くと小児の健康と生長発育に影響します。
 中医学では:尿の正常な排泄は腎の気化作用と膀胱の括約作用に依存している。もし生まれつき弱くて腎の気化作用が欠けて不完全である、あるいは寒さで肺や腎が傷ついた、あるいは栄養がよくなくて肺や脾(消化器)の気の働きが弱い、腎のエネルギーが不足しているなど、すべてが気化作用をうまく行えなくし、下の締まりがなくなり、膀胱の括約が無力になり遺尿がうまれる。
  症状表現
 @3歳以上の小児で、夜間日常的に寝小便、軽い者は数夜に一回、重い者は一夜に数回;
 A精神的に元気がない、食欲減退、寒がりで足が冷い;
 B顔色に艶がないあるいは黄くあせていて痩せている;
 C指紋面は淡紅色で、脉は沈細。



(ニ)沐浴法
 温(熱)水入浴を採用し、水温は38〜45℃に保持、入浴中はタオルで小児の脊背、腰殿部と下腹を擦る、毎回10〜15分間。



(三)推拿の穴位と手法

 @両手を擦って熱くして、一方の手のひらを小児の両腰のくぼみを結んだ線の中点第2腰椎の下命門穴におき、手のひらの付け根で命門、腎兪穴を横向きに摩擦する50〜100回(図288)。





 A拇指の指端を小児の尾骨の端、亀尾穴におき、時計方向にまわしもみ100〜300回、局部の皮膚が潮紅して暖かくなるまでする(図289)。









 B両方の手のひらを擦って暖めた後、一方の手を小児の臍と恥骨結合の中点、丹田において、手のひらの付け根で時計方向にまわしながら揉む50〜100回(図290)。




 C拇指の端で小児の頭頂、百会穴をおさえもむ1〜3分間(図291)。









 D拇指の端を小児の小指の掌面において、指尖から指根にむかって直推100〜300回(図292)、両手を同じように取る。



 E拇指の指紋面を小児の内くるぶしの3寸の三陰交穴におき、揉むこと50〜100回(図293)、左右の穴を同じように取る。



(四)注意事項
 @夜尿症の小児は多く陽気が少なく寒がりなので、入浴時の水温はやや熱めにしてもいい、入浴後はすぐにバスタオルで包んで擦って干してやり、按摩するときには保温に注意し、入浴回数は減らしてもいいが、毎日按摩は継続して行う;
 A小児には良好な生活習慣をつけさせ、晩になったら湯水を飲む量を減らし、睡眠前に排尿させ、眠った後は定時に起こして排尿させる;
 B適当に小児の栄養を増やし、冬季には小児に羊の肉や犬の肉の煮込んだスープを多く飲ませ、耐寒能力を強くする、冷たい飲み物は少なくする;
 C沐浴推拿の方法で一個月治療して、夜尿症に改善のない者は、病院で検査をしてもらい、薬物治療を併用する。

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